人類の歴史を刻む テープ起こし

テープ起こしという仕事は、「記録」という意味あいの強い作業です。
そういう意味ではワープロレイアウトもデータ入力も、情報を記録する作業には違いありませんが、例えばビジネス文書や書籍、印刷物などが主に同時代に生きている人々に対して情報を提供することが主な目的であるのに対し、テープ起こしは同時代の人間のみならず、後世の子孫に我々の時代の様子や生きざまを記録し伝えるという意味あいも含んでいると思います。
テープ起こしの対象になるものは、例えば企業の経営戦略会議、幹部会議、大学などの専門機関による研究発表、その道のスペシャリストによる講演会、国や地方自治体の方向性を審議するような会議など、どれをとってもある意味でその道を極めた人々がこの時代をいかに生き、会社や国というものをどのように動かし、どのような社会情勢で、どのような問題が発生し、それをどのように切り抜けてきたかという、生の記録です。今の時代の人間が何を考え、どう生きてきたかという記録でもあります。
言葉というものは、線香花火のように一瞬にして光り輝き、消えていってしまうものです。どんなに価値のある講演や真剣な討論も、その言葉を記録するという作業がなければ、その場を共有したごくごく一部の人間の記憶に一時期刻み込まれるだけで終わってしまいます。書物や印刷物にも残らないような一瞬一瞬の<言葉>というきらめきを、重要な遺産として、後世の人類のために残していく……テープ起こしとは、そのようにとても重要な価値ある仕事であると思っています。
例えば私たちが古事記や日本書紀などの古い文献によって過去の人類の生きざまを伺い知ることができるように、何百年、何千年のちの人々が、私たちの言葉の記録をひもとくときがきっとくるはずです。そのような遠い未来に思いを馳せながら、素晴らしい方々の一つひとつの言葉を、丁寧に心をこめて残していく作業をしたいと思いませんか?