まずは体験してみよう!

テープ起こしは、手と足と目と耳を同時に使うという特殊な職業です。いくら同音異義語のテストの点数がよくても、漢字の試験の点数が良くても、あなた自身の手と足と目と耳、どれか一つの体の器官が「この仕事は苦痛だ。苦しい」と叫び声を上げたなら、あなたはその仕事を職業とすることは難しいのです。そのために、まずテープ起こしを体験してみることです。いくら漢字の試験の点数がよくても、表記をバッチリ身につけても、あなたの体が悲鳴を上げて、これはやっていけないと判断したら、それがわかっただけでもその講座を受講した意味があったということです。

そういう意味では、トランスクライバーを使わない手書き中心の通信講座をいくら優秀な成績で修了しても、実務としてとても即戦力にはなりません。もしも私が仕事をお願いするとしたら、手書きの通信講座をトップで卒業した人よりも、独学でいろいろな音を聞き分ける訓練をしてきた人にお願いするでしょう。表記は、面倒くさがらずに辞書を引くことができれば、必ず身についてくるものだと思います。しかし、聞き取り能力だけは、素養の部分を無視することはできません。聞こえにくい音を何度も聞き直し、スピードを変えたり、トーンを変えたりして聞き取る体験を積んでいる方の方が、案外即戦力になることもあるのではないかと思います。

体験するだけであれば、何も通信教育を受けなくても自分でやってみることはできますが、自分1人ではどうしても甘えが出てしまう人、客観的な判定をしてほしいという方は、お金を払って体験させてもらうことになります。

とはいえ、トランスクライバーは決して安い機材ではありません。この仕事が向いているのかどうか、仕事になるのかどうかもわからないうちから6万円もの投資をすることは、勇気のいることです。高価なトランスクライバーを買ったのはいいけれど、自分には向いていなかった…というのでは、そのトランスクライバーはゴミ同然です。私のときも、まさにそうでした。「買おう!」と決意するまでに、迷って迷って、ずいぶん時間がかかりました。

あのときの私のように、テープ起こしという仕事の入口で立ち止まって悩んでおられる方は、おそらくたくさんいるのではないでしょうか。ちょっとだけ、トランスクライバーというものを体験することができたなら、自信をもって先に進める方はたくさんいるだろうと思うし、向いていないことがわかって高い通信教育に無駄な投資をせずにすむ方もおられると思うのです。

トランスクライバーの体験企画は、現在しばらく中断していますが、また近いうちに再開する予定です。しばらくお待ちくださいね。(2001.11月)